曲がり角の向こう

カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD) 公共政策大学院の日々

走りながら考える

2011年の夏も終わる頃、某家電メーカーで働いていた私は、入社2年目にも拘わらず、新興国向けの商品開発メンバーとして、ある経営会議に参加していた。報告の出来はもう一つだったけれど、会議も終わりの頃、アメリカ出張帰りのシニアマネージャーが発言した言葉をよく覚えている。

「僕たちのアクションは遅すぎる。シリコンバレーの連中は、みんな走りながら考えて新規ビジネスを開発していますよ。」

走りながら考える。一体どんなことをしているのだろうかと思った。

当時はやっと商品企画の仕事が分かり始めていた頃だったけど、会議に会議を重ね残業三昧の日々で、何だか効率悪いなぁーと思いながらも、その流れを変えられなかった。その一方で、走りながら考える人たちがいる、ということはずっと頭の片隅にあった。

それから早6年の月日を経て、今私はアメリカで大学院生をしている。そして気づいたことがある。アメリカの大学では、学生が新しい知識を学び、消化して、解釈して、そして自分なりの見解を述べたり、質問したりする。このプロセスがとにかく早いのである。日本の大学だったら、新しい知識を学んで、消化して、終わり。自分なりの解釈をして、発言するところまでは求められない。ここが問題だと最近すごく思う。

それで何が言いたいのかというと、アメリカの教育が新しいことを学んで、それを自分なりにアウトプットするというプロセスを大事にしている、そしてそのプロセスのスピードがものすごく早いことが、結局新しいビジネスを生むことに繋がっているんじゃないかということ。今やっと、走りながら考える人たちの感覚が分かった気がする。私も早くその波に乗りたい。でも、多分もう少し時間はかかる気がする。

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↑大学のキャリアセミナーの雰囲気。大体ここで授業も行われる。