曲がり角の向こう

カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD) 公共政策大学院の日々

日本のNGOで働くということ

今朝フェイスブックを見ていたら、NGO時代の友人が、世界的NGOのオックスファムの日本支部が解散することを取り上げていました。友人は、別のNGOの事務局長をしていて、休日もままならず日夜仕事に追われていますが、日本のNGOの財政危機は深刻であること、今後はこうした経営破綻の例は出てくるとコメントを載せていました。

oxfam.jp

私がアメリカの大学院に行こうと思った一つには、財政面も含めた欧米のNGOのマネジメントを見たいと思ったからです。私は日本では比較的大きなNGOで3年間ほど働きましたが、私が感じたNGOのマネージメント課題は以下の内容が挙げられます。

・組織としての中長期的な戦略が十分に描けていない(財政面も含め)

・戦略を描いたとしても、本部が十分に現地事務所に戦略意図を伝えきれていない

・プロジェクトのインパクト評価が不十分

・プロジェクトのフレームワーク作りが出来ていない

・組織内でスタッフのキャパビルをする仕組み・機会が非常に限定的(UN・JICAによる研修が主)

・人材の流動性があまりに高く、知識経験を持った中核職員が少ない(3年内離職率が非常に高い)

その一方で、NGOは組織が小さい分、意思決定が早い、新人でも責任ある仕事を任せてもらえるというメリットもあります。また、NGOだからこそ、最も受益者と近くで仕事をすることも可能です。実際に私は、2年間のスリランカ駐在では、フィールドのマネージャーとして、事業の進捗管理、調達、入札、ファイナンス、人事、外務省へのレポート作成、現地政府へのレポートなど現地事務所の仕事のほぼすべてを経験しました。こうした実務能力を身に着けることは非常に大事で、実務を問題なくこなせれれば、より事業の質をどうすれば上げられるかに時間をかけられるからです。

私は日本のNGOの仕事は素晴らしいと思っているし、だからこそ上述した課題を解決できる人材に将来なりたいと思っています。どうすればNGOに資金が集まる仕組みが作れるのか、NGOのプロジェクトのバリューを上げられるのか、まだまだ課題は多いですが引き続き考えていきたいと思います。