曲がり角の向こう

カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD) 公共政策大学院の日々

アメリカと日本の企業文化の考察

みなさん、こんばんは。昨日、今日ととても寒い1日になりました。さて、今日は私が働いている米系の組織で働いて日系の企業との違いを少し書きたいと思います。

私は新卒で入った大手家電メーカーで商品企画の仕事をしましたが、よく上司や先輩に聞かれたのは「考え方を聞かせてくれ」ということでした。いかに結論への考えるプロセスが合理的で客観的かが試され、もしそのプロセスが説得に不十分であった場合には、即やり直しを言い渡されました。このエクササイズは確かに新人には重要なプロセスの一つなのですが、課長レベルでも同じように言われ、あまりにも多くの時間がそのプロセスに費やされているのを垣間見ました。

一方で、今の組織ではこうした会話を聞いたことは一切ありません。なぜなら、ものの考え方は組織の土台であり、共有されるべきものであるから、という一種の共通理解があるからです。そして、個人の理解がずれることを前提にするからこそ、誰しもが使いやすいツールを議論しながら開発することに時間が割かれます。また今日は初めて戦略会議に出させてもらいましたが、戦略を考える上で重要な質問は何か、ということを議論しました。これはとても欧米的で、いくつかの重要なフレームワークの中で、良い質問、アジェンダを立てることに時間が費やされる。

私は日系企業で働いてみて、組織やマネージメントのやり方に一種の限界を感じました。第二次世界大戦の日本軍の組織的失敗を分析した名著「失敗の本質」にもありますが、未だに日本企業は非常に属人的で、上司が変われば仕事のやり方や質が変わる状況にも疑問を持ち、だから欧米の組織で戦略作りを学びたいと思い、大学院後の就職先も視野に入れて私は西海岸に渡りました。

今の組織は、最初に書いた、「考え方を聞かせてくれ」のような会議は一切なく、ほとんどの会議が30分以内で終わります。細かい点を確認することも少なく、大枠でディレクションが合っているか、ということを確認するのみです。もし欧米の大学院を検討されているのであれば、ぜひ欧米の組織でインターンをして、マネージメントを学んでみることをお勧めします。

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先日の人権とビジネスのイベントにて