曲がり角の向こう

カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD) 公共政策大学院の日々

大学院卒業まで3か月

早いもので、大学院卒業まで残り3か月となりました。来週からの期末試験を前に、肩こりと疲労により、集中力がなく、久々にブログを書いています。

今学期は通常よりも1クラス多くとっているのに加えて、先月はハワイ大学のEast Westセンターで学会のプレゼンに参加したり、急遽サンフランシスコで仕事の面接をしたり、春休み中に行くDC NYの企業訪問の調整をしたりと、本当によく倒れないでやれたと思うのだけど、本当に忙しい3か月でした。

有難いことにサンフランシスコに本部を置くCSR専門のコンサル企業の東京事務所のポジションに内定をもらえたので、最後の春学期は少しゆっくりと過ごしたいなぁと思います。スリランカの駐在とアメリカの大学院生活を合わせて4年間に渡る海外生活からまた日本に戻ることで、何かしらの新たな価値を日本での仕事に持ち込めれば良いなと思います。コンサルタントとして独り立ちするには時間がかかると思うけど、社会的責任投資(ESG投資)がこれだけ世界で急成長していること、SDGsの認知度が日本でも高まっていること考えると、CSRセクターは今後も伸びていく分野だと思っています。

forbesjapan.com

将来的に、組織に縛られずにフリーの専門家として仕事をしていけるようになりたいと考えているので、そういう意味でもCSR分野で働くことが出来るのは、本当にラッキーだと思います。ということで、期末試験を何とか乗り越えて、NYとDCでまたサンディエゴとは違った空気を吸ってきたいと思います。

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私の住んでいる寮の夜の風景。今この寮の両サイドに新たに寮が建設中。

2019年世銀奨学金の応募がもうすぐ始まるようです

みなさん、こんにちは。年中を通して快晴が多いサンデイエゴなので、割合雨の多い1月、2月は少し憂鬱な気分になりますが、それでもイギリスやアメリカ東海岸に比べると、本当にサンディエゴの天気は素晴らしいです。今日の天気も本当に美しかったので、ビジネススクールの4階から写真を撮りました。

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Rady Business Schoolから

学期が始まると、こんなに海に近い場所にいるのに日々忙しくてビーチが遠くなりますが、ふとした時に綺麗な海を見れるとリラックスした気分になります。今学期の授業のひとつ「Political economy of Aid」では、チームプロジェクトとして、米国務省をクライエントに旧ユーゴスラビアの1か国のAnti-corruptionプログラムがcorruptionに与える影響を分析をしています。今日はビジネススクールのビデオルームでDCとつないでミーティングだったので、授業前に上の写真を撮りました。

プロジェクトに関して言うと、なかなかデータを見つけるのが難しいのに加え、どういう内容でまとめるか、まだまだ道筋がはっきりしていないですが、とてもやりがいのあるプロジェクトだなと思ってます。その他には、Development of Economics, Politics of Southeast Asia, CSR, Supply chain managementと私の関心のあるビジネスと開発関連の授業を今学期履修しています。

さて、私のブログアクセスの主な読者は、世銀奨学金関連だと思いますが、2019年の応募は2019年3月7日から開始するようです。締め切りは4月11日。ぜひご応募下さい!私はこの奨学金のお陰で、ファイナンスの心配をすることなく勉強に励むことができ、本当に助かっています。もし質問等あれば、コメントを残していただければと思います!

www.worldbank.org

 

Uberドライバー、移民労働者、それから日本

アメリカで生活していて面白いなと思うことの一つが、多国籍なUber(もしくはLyft)ドライバーとの会話からその国の事情を色々と学べることだ。車を持っていない私のような学生にとって重要な移動の足となるだけでなく、ウガンダ、イラク、イラン、ジャマイカなど普段あまり知り合うことのない人々の話を聞くことが出来る。今日も今いるカフェに来るまでのドライバーはイラン出身の50歳の男性で、昨年サンディエゴにやってきたが、アメリカの生活に順応するのに苦労していると落胆した声で話していた。

前の投稿で書いたDel Marに住むような白人の富裕層がいる一方で、アメリカにやって来たものの必死に自分の人生を切り開こうとしている人と話し、はっとさせられることが結構ある。前述のイラン出身のドライバーも、「10代でアメリカに来ていたらもっと上手くやれていたと思うんだけどね、でも50歳で新しい場所に来て、語学学校に通って、僕はエンジニアの修士号を取りたいんだけど合格できなかった。何もかもが難しく感じるよ。僕の妻はイランでは医師をやっていたんだ。でもここでは医師として働くことが出来ない」と話していた。「それでも妻と子ども達はイランには帰りたくはないんだ」とも。

こういう時に、私は日本人として生まれて、日本でも(上手くいけば)アメリカでも仕事が出来る環境にあることが、どれだけ恵まれているかを感じる。自分の住む場所を選べずに生きることの難しさ、自分以外の国の人が作ったルールの中で生き抜くことの大変さを私も少しは分かってはいるので。それでもUberドライバーの中には、移民として海を渡ってきて成功した人もいて、今は老後の楽しみとしてUberドライバーをしているんだよという人にも出会ったことがある。

もちろん、移民一括りにして、アメリカにおける移民の成功について話をするのは誤っている。アメリカに自分の所属するコミュニティがあった、アメリカで学位をとった、コネクションがあったなど、社会資本の有無は人それぞれで違うだろうと思うし、その時々の運にも左右される。それでも、何もない所から自力で這い上がって成功させれるアメリカ社会の懐の深さを感じることがあるのも事実で、移民とは違うけれど、私の日本人の友人は脊髄損傷によって車椅子の生活も送りながらも必死に勉強を続け、今年アメリカのメディカルスクールに合格した。私の友達が日本で医学部を目指していたら合格できていたかは分からない。

日本も外国人の労働ビザの緩和によって、外国人労働力を増やすと言っているけど、本当に外国人が何もない所からやってきて、日本で成功できるのかは正直疑問だ。外国人が日本で活躍することが、日本にとって良いことであるというビジョンをまずは持つことが重要ではないかと思う。その為にはどんな制度、サポートが必要か。まだまだ議論すべきことは沢山あるように思う。

サンディエゴ散策

先週で秋学期を無事に終え、今週から冬休みが入りました。感覚的には2018年を半分終えたくらいの感覚なのだけど、もう後1週間ほどで2018年も終わってしまうんですね。悲しい。

来週からアメリカ南部を旅行するまで少し時間があったので、昨日は私の住むLa Jollaから車で15分ほど北上したDel Marという高級リゾートへ行ってきました。今年はシアトル、サンフランシスコ、LA、ボストンとアメリカ都市を周りましたが(半分がキャリア関連のイベント参加だけど)、行って気付いた事が、サンディエゴは良い所ということでした(笑)。ボストンは歴史があって美しい場所だけど、とにかく寒い。11月前半でも気温一桁。LAはお店やレストランが沢山あるけど、とにかく汚い。一度泊まってみたかったファッショナブルなAce Hotelも雰囲気はあるものの、周りのストリートを少し歩くものなら、ハンカチで鼻を押さえないと結構歩くのが辛いほどだった。

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Ace Hotelの入り口と中のカフェ。

それに比べると、私の住んでいるサンディエゴはLAに比べると渋滞は少ないしビーチも綺麗だし、ボストンに比べると気候も温暖。昨日なんて12月下旬にして20度を超えていた。そしてDel Mar。ここは白人の裕福なリタイヤした人々が多く住んでいる地域で、美しいビーチが公園からは十分に楽しめる割に静かで人も少なくって、とても良い所だった。近くの不動産屋さんで物件を見てみたけど、冗談ではなく4万ドル(4億円~)とか書いてあって、誰が買うんだろうと思った。まぁ買う人がいるから成り立つんでしょうけど。さておきDel Marは地球の歩き方にも載っていないけど、ダウンタウンに行くよりもずっと気持ちよく時間を過ごせる場所だなと思った昨日の午後なのでした。

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Del Marのビーチ。海外線をAmtrakの電車が走っているので、電車の旅もよし。でも、日本の江ノ電みたく電車に情緒を求めてはいけない。(電車はごつくででかい)

原点回帰する大切さ

こんにちは。目の前のことを考えると本当に期間内にこれだけこなせるのか、とかグループワークで間際になって変更が入ったりと何かとストレスが溜まる日々です。なので、「何のためにここに来たんだっけ?」と時々思い出すようにしています。今年の夏に母校で会ったゼミの先生に「あなた勉強しに行ってるんだから、大変で当たり前でしょう」と言われたけど、その当たり前をたまにというか、結構忘れてしまいます。

でも自分が勉強していることが、世界の問題解決に役立つはずと改めて思い返すことで、結構見える世界が変わってくる気がします。加えて、イエメンで栄養失調による子どもの死者が85,000人も上ること、ネパールでは妊婦の自殺が深刻な事など、世界のニュースを読むと、いかに自分の悩みが小さく、そして自分がいかに恵まれた環境にいるかを改めて感じます。

アメリカの公共政策大学院で2年間勉強すると、場所にもよりますが1000万円の費用がかかります。これだけの費用をかけて世界レベルの教育を受けれる環境にあることをやはり有難く思わないといけないなと、今日ふとした時に思いました。

私の今学期の最終プロジェクトはフィリピンの経済発展の政策提言と、スリランカのコメ生産と雨量の相関関係を地理情報システムを使って分析することです。スリランカの方は紛争がどれほど生活の質(Quality of life)に影響を与えるかをやりたかったけど、データの都合上変更しました。今回のプロジェクトが将来の私のキャリアやその国の政策に活用されると信じて、何とか2週間乗り切りたいと思います。

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地引網で漁をする地元の漁師たち(スリランカ)

ボスキャリへ行ったこと

皆さん、こんにちは。10週間で終わるこの激動のクウォーター制において、只今week9。段々と切羽詰まってきます。今週末は、Macroeconomics of developmentとGIS(地理情報システム)のファイナルペーパーを3割くらいは終わらせたいし、Japanese business and managementのcase studyを書ききる、など結構予定が詰まってきました。

そんな中、11月の第二週にボストンキャリアフォーラムに行ってきました。これは日本でも有名なキャリアイベントで、日本語・英語のバイリンガル向けに主には日系企業がブースを出し、企業説明から面接(上手くいけば内定)までを3日間で行うというもので、アメリカからだけでなく欧州・日本からも学生が押し寄せてきます。

私の目的は、コンサル企業の方と話をしてみることだったので、あまりプレッシャーもなく行ってみたものの、あまり自分が働くイメージを持てず、もっぱらEBRDやIFCなどの国際機関の方にCVを見てもらってアドバイスをもらったりしました。コンサルに興味を持ったのは、私がNGOでやった仕事も現地の人の問題解決をお手伝いする仕事だから、問題解決のプロとしてコンサルでキャリアを積むのもありかな、と思ったのですが、クライエントの規模がでかすぎて、私がお手伝いしなくても良いでしょうと思ってしまったのですよね。

ボストンからサンディエゴまで帰りの飛行機は6時間以上もかかり(日本とインドネシア間くらいの時間)結構タフな旅程だったのですが、ボスキャリを通じて自分自身をより知るきっかけになって良かったかなと思います。この前行ったLAの話も追ってまた書きたいと思います。ああ何とかあと2週間乗り切れますように。

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ハーバード大学の周り。ヨーロッパの雰囲気でとても素敵でした。

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ボストンの公園にて。絵本「かもさんお通り」はここで生まれたらしい。

すごい人に出会う

昨日は大学院の国際理事メンバーとの昼食会に呼ばれ、頭の片隅に翌朝提出のペーパーのことを考えながら重い足取りで大学へ向かった。この理事は、政策や国際関係、シンクタンクまたは企業のエグゼクティブが多くを占める。肩書だけを見ると恐れ多いのだが、話してみると気さくな人が多かった。

そんな中、昼食会も終わり図書館へ向かおうと思っていた時に、一人の日本人理事を見つける。十分にプロフィールを見てこなかったので、うろ覚えだったが取り合えず挨拶をしてみると、名札には「SEMMOTO」とある。うーん、知らない。それで、自分の今までの経歴、企業からNGOに転職したこと、CSRの仕事に興味を持っていることを話すと、そのあと襟に付けてある国連のSDGsのバッチに指を向けられた。「これ、国連で買えるんだよね」と言われたが、何を隠そうその方は、KDDIを創業され、日本の通信事業ビジネスの第一人者の千本倖生さんだった。

と言ってもその時には気付かず、「イーモバイルって知ってる?それ僕が作った会社なの」と言われ、その後「KDDIも僕が作ったのよ、稲盛さんと一緒に」と言われた時に、目の前にいる人が只者ではないことが分かった。何でも私の大学院の学部長と20年来の友達であり、前の会社の理事を学部長が務めていたとか。

10分ほどしか話が出来なかったけど、目の前にいた偉大な日本人の大先輩を前に、「沈黙は金じゃないの。はっきりと自分の意見を日本人は言わなきゃだめだよね。頑張ってね」と言われたことは、この先も忘れないだろう。忙しい日々で疲労感の溜まった日常圏から、すっと外に出て新しい空気を吸わせてもらった、そんな一瞬の輝かしい時間を私は昨日過ごしたのだった。ありがたい。