曲がり角の向こう

カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD) 公共政策大学院の日々

すごい人に出会う

昨日は大学院の国際理事メンバーとの昼食会に呼ばれ、頭の片隅に翌朝提出のペーパーのことを考えながら重い足取りで大学へ向かった。この理事は、政策や国際関係、シンクタンクまたは企業のエグゼクティブが多くを占める。肩書だけを見ると恐れ多いのだが、話してみると気さくな人が多かった。

そんな中、昼食会も終わり図書館へ向かおうと思っていた時に、一人の日本人理事を見つける。十分にプロフィールを見てこなかったので、うろ覚えだったが取り合えず挨拶をしてみると、名札には「SEMMOTO」とある。うーん、知らない。それで、自分の今までの経歴、企業からNGOに転職したこと、CSRの仕事に興味を持っていることを話すと、そのあと襟に付けてある国連のSDGsのバッチに指を向けられた。「これ、国連で買えるんだよね」と言われたが、何を隠そうその方は、KDDIを創業され、日本の通信事業ビジネスの第一人者の千本倖生さんだった。

と言ってもその時には気付かず、「イーモバイルって知ってる?それ僕が作った会社なの」と言われ、その後「KDDIも僕が作ったのよ、稲盛さんと一緒に」と言われた時に、目の前にいる人が只者ではないことが分かった。何でも私の大学院の学部長と20年来の友達であり、前の会社の理事を学部長が務めていたとか。

10分ほどしか話が出来なかったけど、目の前にいた偉大な日本人の大先輩を前に、「沈黙は金じゃないの。はっきりと自分の意見を日本人は言わなきゃだめだよね。頑張ってね」と言われたことは、この先も忘れないだろう。忙しい日々で疲労感の溜まった日常圏から、すっと外に出て新しい空気を吸わせてもらった、そんな一瞬の輝かしい時間を私は昨日過ごしたのだった。ありがたい。